ICONS OF FILTH - nostradamnedus 全曲試聴

ANARCO PUNK

ルーズな感じの歌い方に聴こえるが、安定した自在な歌唱でもある。不協和音やちょっとシュールな曲もあるが、2曲目や4曲目などは、ロックンロールの乗りと覚えやすいメロディーにスピーディーな曲調・展開を持ち、かなりキャッチーだ。わずかだが哀愁のギター・リフ等もあり、もともとパンク・ロックが持っていた(持っている)多様な可能性を、具体的に示しているような巾のある音楽性だ。この点は聴き返す事によって、より明瞭に認識されるだろう。バンドはヴィーガン・アナーコ・パンクで、アニマル・ライツや反戦、制度化された宗教の弊害への対抗などを訴えている。彼らはその後のシーンに大きな影響を与えたと言われている。

ICONS OF FILTH の前身バンド MOCK DEATH は1979年に、英国ウェールズ Morgannwg 郡(historic county) Caerdydd 都市郡(City and County)で結成した。
結成メンバーは Aitch (Mark Wilson) (drums), Daffy Marshall (Simon DeManuel と同じ人) (guitar), Socket (Tony Watts) (bass), Fran (vocal), Tina (vocal) の5人。この内 Daffy Marshall が現在も参加していて、バンドの中心になっている。
MOCK DEATH は何回かのライヴを行ったが1年後に活動を終えた。
MOCK DEATH の解散を受けて、 ATOMIC FILTH が結成された。
結成メンバーは MOCK DEATH の内のヴォーカル2人を除いた3人と、 Stig (Andrew "Stiggy Smeg" Sewell) (vocals) の4人。
彼らはその後1年を経ずしてバンド名を ICONS OF FILTH に改名した。
このときベーシストは Ed に入れ替わった。 Ed は現在も参加(Wikipedia英語版(en.wikipedia.orgサイト)2016年06月24日16:47データ取得)している。
このメンバーで1982年に録音した1stアルバム "Not On Her Majesty's Service" は1983年に CONFLICT のレーベル MORTARHATE からカセット・テープでリリースされた。
1984年には2ndアルバムを発表。そのほかEP3枚を残して1985年に第1期の活動を停止した。第1期の最後になった3枚目のEPはかなりメンバーが替わっていたようだ。
2001年に1stアルバムのメンバー (Stig, Aitch, Daffy, Ed) で再結成した。
しかし2004年10月23日にロンドンの Hackney で行ったライヴの後、 Stig は不調を訴え、23日午前3時10分に心臓発作で死亡した。 Stig は酒飲みとして知られていたらしいがこのときはビール4缶しか飲んでおらず、ヘロイン過剰摂取のうわさもたったが、死ぬ前に摂取してはいないのは間違いないと言う。
バンドは Stig の子供たちの為のベネフィットのライヴをロンドンとLAで行った後、解散した。
また Stig の死後10周年にあたる2015年には再結成(reformed)して、10月14日/15日に Stig の息子のバンドの両方と一緒にライヴを行った。

今回ご紹介したアルバムは再結成した年にウェールズで録音し、翌2002年(November 26, 2002)に米国の GO KART RECORDS からリリースされた3rdアルバム。13曲収録。

Youtube全曲試聴
全曲試聴は期間限定の場合があります。試聴はお早めに。

(コメント:犬丸)

LIKE RATS - s/t 全曲試聴

SLUDGE / DEATH METAL

メタリック・グラインド・バンド WEEKEND NACHOS のメンバー参加と言うことで、 WEEKEND NACHOS の持つダーク・ヘヴィー・スローな部分を強調した、パワーヴァイオレンスやグラインドコア要素のあるサウンド。
告知ではデス・メタルで、プリミティヴさが強調されていて、 HELLHAMMER や初期 CELTIC FROST (いずれもデス・メタルと言うよりブラック・メタルだ) の名前が挙げられている。
しかし同時に、モダン・メタル的な、あるいはエクスペリメンタルなアプローチもある。そこまでノイジーな訳ではないけど、インダストリアル・メタル的にも聴こえる。

中心メンバーは、ベースが WEEKEND NACHOS の Andy Nelson (エンジニアなどとして SOUTHERN LORD のバンド DEAD IN THE DIRT など、古い話になるが DISCHORD RECORDS の TEEN IDLES 等の録音にかかわっている) と、 WEEKEND NACHOS の録音にも参加していたドラムズの Dan Polak の2人。その他、 John Regan (Guitars), Todd Nief (Guitars), Daniel Shea (Vocals) が参加。

EP の "like rats" は2010年に米国の COSMIC DEBRIS / A389 RECORDINGS からアナログ7インチ盤でリリースされたEP。5曲。

アルバムの "like rats" は2012年に米国の A389 RECORDINGS からアナログ12インチ盤でリリースされた1stアルバム。9曲。

"ii" は2016年 (25 Mar 2016) に米国 SOUTHERN LORD RECORDINGS からアナログ12インチ盤でリリースされた2ndアルバム。8曲。
Andy Nelson が録音した。

今回ご紹介のCDは2016年 (25 Mar 2016) に米国の SOUTHERN LORD からリリースされた編集盤。22曲収録。
先に書いた3作品をすべて収録している。8曲目までがアルバム "ii" の全曲、続く9曲がアルバム "like rats" の全曲、続く5曲がEP "like rats" の全曲。
なお、このCDのタイトルは当店の卸業者の告知では "s/t" だが、同時またはほぼ同時に発売されたアナログ盤のアルバム "ii" と品番とアートワークが同じであり、業者によってはこちらのCDのタイトルも "ii" となっている。

bandcamp試聴・アルバム "ii" 全曲
Youtube試聴・アルバム "like rats" (2012年) 全曲
Youtube試聴・アナログ7インチ盤 "like rats" (2010年) 全曲
全曲試聴は期間限定の場合があります。試聴はお早めに。

(コメント:犬丸)

初稿:2016/04/08 14:51
第2稿:2016/06/24 (試聴リンクの表示を訂正し、試聴リンクを2件追加。初回入荷の予定価格を追加。このCDのタイトルについての説明を追加。この記事のタイトルに"全曲試聴"の文言を追加。その他一部の表現を変更。)

ROTTEN SOUND - Abuse To Suffer 全曲試聴

GRINDCORE

デス・メタリックなグラインドコア。ごつごつした鋭い音と、ブラスト・ビートを織り込んだ雪崩のような勢いのマッチング。
ヴォーカルはガテラルは使わず、激しいグロウルや力の入ったシャウト。
ギターは時にはダークなグルーヴのあるリフを聴かせる。
リズム面ではブラスト一辺倒ではなく、かなりスローなパートも目立つ。
リズムの変化も含めて展開は多い目で、演奏はテクニカルとも言えるが、最近のモダン志向のバンドが聴かせるお決まりの音等出て来ず、ストレートなやり方でアグレッションを追求している。無骨と言っていいほどだ。

ROTTEN SOUND は1993年にフィンランド Vaasan 自治体(kaupunki)で結成した。
結成メンバーは、ギタリストの Q (Mika Aalto)、シンガーの G (Keijo Niinimaa)の2人。
翌年からベーシストとドラマーが加わり、通常は4人編成。ただし、一時、ベーシストの不在期間や、ツイン・ギターの期間がある。
メンバーの入れ替わりは結構あるが、結成メンバーの2人はいままで不動だ。

今回ご紹介したのは2016年(March 18th, 2016)に米国の SEASON OF MIST AMERICA からリリースされた7thアルバム。16曲(28:19)収録。
バンドメンバーは、結成からの2人と、2006年から参加の Sami Latva (Drums)、2010年から参加の Kristian Toivainen (Bass)の、合わせて4人。
制作や録音の体制は、ベテランでもありセルフ・プロデュースに近いが、プロデュースは Sami Latva と Rotten Sound 、ミキシングとマスタリングは Sami Latva で Coughing Room で行われた。
ヴォーカルのエンジニアは Keijo Niinimaa で Chaotic Doom Cave Studios で録音。
ギターとベースのエンジニアは Rotten Sound で Sound Supreme Studios と Coughing room で録音。
ドラムズの録音(recorded by)は Rotten Sound で、エンジニアは Janne Saksa と Sami Latva で Sound Supreme Studios で録音。
Sami Latva はオリジナル・メンバーではないが、重要な存在になっているようだ。
こちらの米国盤には、日本盤(GQCS-90121 / ¥2,376)に収録されているボーナス・トラック(2曲)は含まれていません。

bandcamp全曲試聴
Youtube全曲試聴

(コメント:犬丸)

AMON AMARTH - Jomsviking 全曲試聴

VIKING DEATH METAL

ヴァイキング・デス・メタル。
メロディックで勇壮なタイプで、叙情的な要素はあるが、かなりアッパーと言うか超アッパーな所が特徴だろう。テンポも速い目が多い。したがって勇壮だが、悲壮とか叙情的なパートが目立つとかいったタイプではなく、熱い。
物語的なものを感じさせるような熱いエモーションにとんだ歌いっぷりと畳み掛けるようなスピーディーな展開の演奏は、情景を想像させるに十分で、手に汗を握る様なサウンドだ。
ところで、アルバム・タイトルの Jomsviking (ヨムスヴァイキング、ヨームのヴァイキングとも言う)は、ウィキペディア(日本語サイト)によれば「10世紀から11世紀にかけて活躍したおそらくは伝説上のヴァイキングの傭兵団または盗賊団である。彼らはオーディンとトールといった神々への崇拝に一生を捧げていた。彼らは忠実な異教徒(en)であった。しかし一般的な評価によれば、彼らは自分たちに相当な額の報酬を払うことができるいかなる貴族のためにも戦い、時にはキリスト教徒である統治者と共に戦った。」とある(2016年06月20日18:50データ取得)。この作品は、彼らの初めてのコンセプト・アルバムであり、シンガーの Johan Hegg にとっても始めての作詞であったらしい。なるほど、と思わせるような気合のこもった歌唱や演奏になっている。

AMON AMARTH の前身となった SCUM は1998年にスウェーデン Botkyrka 基礎自治体(kommun) Tumba 地域で結成した。
結成メンバーはシンガーの Puppe M. (= Themgoroth) (Paul Mäkitalo) とギタリストの Olli M. (Olavi Mikkonen) の2人。この内 Olli M. は現在も参加している。 Puppe M. は改名前に脱退し、後に Dark Funeral に参加 (1993年 - 1995年) した。
SCUM はデモ1作を残して、1992年に AMON AMARTH に改名した。改名時はその時の SCUM の全メンバー5人がそのまま AMON AMARTH に残っている。 "Amon Amarth" は J.R.R. Tolkien が Lord of the Rings (指輪物語)中で創造した人工言語シンダール語(Sindarin)で、 "Mount Doom" と言う意味になる。
ヴォーカル、ツイン・ギター、ベース、ドラムズの5人編成。ドラマーは数回変わっているが、現メンバーのうち3人が改名時からのメンバーなので、メンバーの変動の少ない方だろう。現メンバーで言えば、ベーシストが短期間 ETERNAL OATH と掛け持ちをしていたほかは、メンバーの掛け持ちもない。掛け持ちがないどころか、他の3人には AMON AMARTH ( SCUM を含む)以外のバンド暦が記録にない。

今回ご紹介したのは、2016年(March 25th, 2016)に、米国の METAL BLADE RECORDS からリリースされた10thアルバム。10曲(47:37)収録。
バンド・メンバーは4人で、現在、正式の(permanent member の)ドラマーがおらず、セッション・メンバーとして Tobias "Tobben" Gustafsson が叩いている。この人は VOMITORY (1989年結成-2013年解散)の全期間のメンバーだった。

Youtube全曲試聴(セット)
musicmp3全曲試聴

(コメント:犬丸)

CATTLE DECAPITATION - anthropocene extinction 全曲試聴

家庭の事情などでしばらく新しい記事をUPしていませんでした。また、来年の閉店に向けて主力の取引先からの入荷(大口の入荷)もほぼ終わり、今後はあまり得意とはしてないレーベル(つまり他所より安く売るのが難しいレーベル)等を、気が向けばぽちぽちと入荷していくことになります。よろしければお付き合い下さい。
今回の作品は主力の取引先が苦手としているレーベルで、当店としても適当な発注先がなく今まで入荷できていなかったものですが、今になってあまり高くはない業者が見つかりましたのでとりあえず入荷して見ます。遣り残していた仕事を片付けると言った感じですねん。

テクニカル・デス・メタル。本作ではかなりメロディック。
1曲目は重厚にテンポを落として始まるが、ブラストを多用しゴアなガテラルも聴かせるマニアックなグラインド要素と、不穏なメロディーやダークな美意識を感じさせる(メロディック・)ブラック・メタル要素を、全編に深く溶け込ませている。3曲目等、叙情ブラック的なギター・リフも聴かせる。不協和音など用い、現代的なスタイル、テクニカルでもある。
展開も多いがスムーズで、テンポの変化にもわずらわしさや鬱陶しさを感じさせない。重厚さ、エクストリームさ、モダンさ、キャッチーさと言った相反(あいはん)しがちな特徴も、無理なく十分に盛り込んでいる。この辺りがベテランらしさなのかも知れない。それぞれの特徴は濃いものの、多方向にバランスしているため、どっちつかずの印象を受ける人もいるだろう。
ヴォーカルは低音から中高音(普通のグロウル)迄聴かせるが1人。低音部がかなりゴボゴボでピッチ・シフター使用かもしれない。

CATTLE DECAPITATION は米国 California州 San Diego市で1996年に結成した。
結成メンバーは、当時(1994年 - 2001年) LOCUST のメンバーであった Dave Astor (Drums), 後(1998年 - 現在も参加中)に LOCUST に参加する Gabe Serbian (Guitars), 後(2009年 - 2012年)に SUTEKH HEXEN に参加する LOCUST 人脈と見られる Scott Miller (Guitars, Vocal) の3人。
翌1997年からシンガーの Travis Ryan が参加し、初期のメンバーの内では、現在(2016年)は彼だけが残っている。
初期は LOCUST のサイド・プロジェクト的に見られていた。

今回ご紹介するのは2015年(August 7th, 2015)に METAL BLADE RECORDS (USA) からリリースされた7枚目か8枚目のアルバム。1999年にリリースされた18曲(16:12)収録の "Human Jerky" をEPとして除外すれば、本作は7thアルバムになる。12曲(46:09)。
バンド・メンバーは4人。ゲストは Phil Anselmo, Jurgen Bartsch (BETHLEHEM) がそれぞれ1曲参加。
"Human Jerky" との曲の長さの違いを見ても想像されそうだが、初期はグラインドコア、その後デス・メタルとなった。現在はプログレッシヴ・デス・メタルとも言われる。

bandcamp試聴

(コメント:犬丸)