OFERMOD - tiamtu 全曲試聴

BLACK METAL

邪悪性やダークネスとヴァイオレントで野蛮な要素が融合されたブラック・メタル。デス・メタル、スラッシュ・メタル、アヴァンギャルド・ブラックなどの要素もあるが、そのいずれにも偏ったサウンドではない。
前作のEPではスウェディッシュ・ブラック・メタルらしい叙情性を前面に出したサウンドを聴かせていたらしい。本作ではへヴィーネスの方がやや前面に出ている感じだが、以前の叙情的な演奏「陰」にわめき系のパワフルなヴォーカル「激」がからみつき、ふくよかな膨(ふく)らみのあるサウンドになっている。
また、トレモロも取り入れたメロディックなギターは翳りのある叙情的なメロディーをたっぷりと聴かせ、ダークネスとミックスされて濃厚な不穏な空気を醸(かも)している。どこか退廃的な感じも覚えさせる辺りは、いかにも NORMA EVANGELIUM DIABOLI レーベル全盛期の作品らしい。トレモロ一辺倒ではない所も長所に挙げられる。
ドラムズは複雑なリズムもあるものの、いかにもイーヴリッシュなバンドにふさわしく野蛮にどたどた叩きまくり、ブラストもあり熱く疾走。録音は適度な厚みがあるが、アンダーグラウンドな雰囲気を損ねるほどではない。聴きやすいだろう。

OFERMOD は1996年にスウェーデン Östergötlands 県(län) Norrköping 基礎自治体と Stockholms 県 Stockholm 基礎自治体で結成した。
結成から現在(2016年06月資料)まで参加している Mika Hakola (= NEFANDUS の Michayah Belfagor の本名) が中心人物。彼らは最大4人前後で活動しているが、 Mika Hakola のバンドと言っても良さそうだ。
彼に次いで長い間バンドの要(かなめ)となっていたのがヴォーカルの Nebiros (MALIGN の Nord と同じ) で、1997年-2011年の間参加していた。

アルバム "Pentagrammaton" は結成10周年記念として2006年にリリースされると告知されていた1stフルアルバム。
一部のヴォーカルに TEITANBLOOD の Moloch を迎え、2006年初めまでに一部パートは録音が完了していた。しかし Mika Hakola が暴行・窃盗・その他の罪により、2006年初めから8月まで刑務所に収監されていたため、発売は2007年に延期され、さらに最終的には発売が中止された。
その収録曲を作り直し、録音しなおしたのが今回紹介した1stフルアルバム "Tiamtü " になる。8曲 (42:31) 収録。
本作は2008年 (September 29th, 2008) にフランスの NORMA EVANGELIUM DIABOLI からリリースされた。
本作のバンド・メンバーは Michayah Belfagor (All instruments), Nebiros (Vocals) の2人。本作はこの2人で制作され、レコーディング・セッション・メンバーやゲストはいないようだ。
ミキシングとマスタリングは MARDUK の Devo が担当。

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(コメント:犬丸)

CANNIBAL CORPSE - kill 全曲試聴

DEATH METAL

ファストな曲中心で相当のヘヴィーネスもある。ギターはソロも出来が良く、リフには効果的な不協和音も盛り沢山、変化も多くテクニカル。
ヴォーカルはやや野太い蛮性で、ヘヴィーであると同時に滑舌良く、テンポ良く吠え付く。
ベースは少し不気味な感じを漂わせ、表に立って聴かせるパートもある。
ドラミングは手数が少ないのが特徴とされていて、徹底的にパワフルかつノリが良い。こちらもそれなりに変化は多く、安定感・テクニックは高い。
曲のそろいが良く(不出来な曲などない)、曲調の面では単一な音楽性を持っているため、1回目聴いた時には後半になると曲の区別がつかない感じかもしれないが、アルバム全体を通してどの曲も高い完成度を持っている。

CANNIBAL CORPSE は、1988年に米国 New York 州 Buffalo 市で結成した。
結成メンバーは現在も在籍する Alex Webster (ex-BEYOND DEATH) と Paul Mazurkiewicz (ex-TIRANT SIN) のほか、2004年まで参加していた Jack Owen (ex-BEYOND DEATH), 1995年に解雇された Chris Barnes (ex-LEVIATHAN, ex-TIRANT SIN), 1993年に解雇された Bob Rusay (EX-TIRANT SIN) の5人。
1993年に Florida州 Tampa市に本拠地を移した。
メンバーが CANNIBAL CORPSE 以前に在籍した 1986年結成の TIRANT SIN, 1987年結成の BEYOND DEATH, 1986年結成の LEVIATHAN (New York) の3バンドは、いずれも Buffalo 市地域の、初期のデス・メタル・バンドだった。「初期のデス・メタル」と言うものの、厳密に言えば「デス・スラッシュ・メタル」だったらしい。

アルバム "Kill" は2006年 (米国: 21 Mar 2006) に米国とドイツ(EU)の METAL BLADE RECORDS 、ライセンスによる日本やオーストラリア他の METAL BLADE RECORDS レーベル、他各国でリリースされた10thアルバム。13曲 (42:10) 収録。
バンド・メンバーは George "Corpsegrinder" Fisher (vocals), Pat O'Brien (guitar), Rob Barrett (guitar), Alex Webster (bass), Paul Mazurkiewicz (drums) の5人。
プロデュースは Erik Rutan (元 Ripping Corpse, Morbid Angel, 現 Hate Eternal) で、 backing vocals でも1曲に参加している。録音は Rutan 所有の Mana Studios 。
米国のアルバム・チャート Billboard 200 では最高位が 170 位で、彼らのアルバムの Billboard 200 入りは "Vile" に次いで2作目だった。

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(コメント:犬丸)

HATEBREED - The Concrete Confessional 全曲試聴

MTALCORE

ザクザクとしたメタリック・ハードコア。叩きつけ押さえつけるような切れ目のない重圧感を与える、大変ヘヴィーなサウンドで覆い尽くされているため、小さい音で聴くと平板に聴こえる。これは大きい音で聴くべき作品だろう。
ヴォーカルなどは少し癖のある音に聴こえるので、かなり工夫を凝らした録音になっているように思える。(多くの部分でコーラスがヴォーカルに重なっているので判りにくいのですが、ヴォーカルがダブル・トラック(重ね録り)になっていませんかねえ?)
各パートの演奏は充実しているが、飽くまでも全体のまとまりを重視した音作りだ。そして、全体が粒の揃ったヘヴィーなサウンドとなっている中から、時折メタリックなギターのフレーズが浮かび上がり、ギターの目立ち度はヴォーカルを少し越えていると思う。

HATEBREED は1994年に、米国 Connecticut 州 Bridgeport 市と Waterbury 市、 New Haven 市で結成した。
結成メンバーは ex-JASTA 14 のシンガー Jamey Jasta (James Shanahan, New Haven, 現在まで参加), ベーシスト Chris 'The X-Mas Bitch' Beattie (Bridgeport, 現在まで参加), 2人のギタリスト Larry Dwyer Jr (Jnr) (1996年まで参加), Wayne Lozinak (1994 - 1996, 2009 - 現在まで) とドラマーの Dave Russo (1996年まで参加) の5人。 New Haven を本拠地として結成した。
その後ドラマーは、中3人を挟んで、2001年から現在の Matt Byrne になる。
ギターも、Sean Martin (1999 - 2009, Waterbury), Lou 'Boulder' Richards (1996 - 2002年, 薬物中毒で解雇, 2006年自殺, Bridgeport), Matt McIntosh (1996 - 1999, Greenwich, Connecticut 州, 現在はシンガー・ソングライター)の3人を挟んで、現在は、2006年からの Frank Novinec と2009年に出戻りした Wayne Lozinak になっている。

今回ご紹介した作品は2016年(May 13, 2016)に各国の NUCLEAR BLAST からリリースされた7thアルバム。13曲(33:28)収録。

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(コメント:犬丸)

PERIPHERY - iii: Select Difficulty 全曲試聴

NEW SCHOOL / POST-HARDCORE / EMOMETAL

エクスペリメンタル(プログレッシヴ)・メタルコア。私は頭が弱いんでしょうか? 「弱い」じゃなっくて、「やわい」かな? 1曲目から変則リズムが複雑奇怪。頭がコワレそう。
超ヘヴィーで、それ以上にエクストリームにプログレッシヴ。プログレッシヴ・メタルコアと言うので良いのでしょうが、私など昔から生きているので、プログレッシヴと言うと昔のプログレを思い浮かべてしまい、それとは全然違うので、エクスペリメンタル・メタルコアと書いた訳です。
エモコア的な美メロとの絡みになり、その絡みも特徴になるが、エクストリームにプログレッシヴな部分の方に他のバンドとの差異が大きい様だ。
ラウドでヴァイオレントなサウンドだが、頭の良い人向きだ。私には耐え難いほど複雑なため、十分理解出来ない。従って、バラード曲もあるが美メロが十分に生かされているかどうかは判断できない。

PERIPHERY は2005年に、米国 Maryland 州 Montgomery 郡 Bethesda 地域(unincorporated area = 自治体が設立されていないため郡の直轄)で結成した。
ギタリスト Misha Mansoor がインターネットの伝言板や MESHUGGAH 等のフォーラムでメンバーを集めた。
初期はメンバーが流動的で、初代ドラマー Jason Berlin 参加までは Mansoor がギターだけでなくドラムズも担当していた。
ドラマーは、その後 Travis Orbin (2005 - 2009) を経て、2010年の1stアルバム "Periphery" 時には Matt Halpern (2009 - 現在) に替わった。
もう1人のギタリストは、初代が Alex Bois (2005 - 2011) で、彼の後には rhythm and lead guitars の Mark Holcomb (2011 - 現在)が加わった。
さらに3人目のギタリストとして、初期には Anthony Marshall (2005) が、その後には rhythm guitar と programming の Jake Bowen (2007 - 現在) が加わっている。
シンガーは初代が Jacob Tull 、その後 Jake Veredika (2005 - 2007), Casey Sabol (2007 - 2008), Chris Barretto (2008 - 2010) を経て、1stアルバム時には Spencer Sotelo (2010 - 現在) に替わった。
ベース・ギターは、初代がTom Murphy (2005 - 2011) で、以後は bass guitar と programming 担当の Adam "Nolly" Getgood (2009, 2012 - 現在) が加わっている。
1stアルバム以後、原則として6人編成になっている。

本作は2016年 (July 22, 2016) にリリースされた4thフルレングス・アルバム。11曲 (64:06) 収録。
2015年の長編アルバムが、2枚に分かれて発売されているため、タイトルは "iii" だが4thになる。

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(コメント:犬丸)