DOWNFALL OF NUR - umbras de barbagia 全曲試聴

ATMOSPHERIC FOLK BLACK METAL

かなりダウンテンポでの進行が多いが、雄大。徐々に盛り上げて行くスケールの大きい展開で、その結果曲も長尺。
特にダウン・テンポの部分でフォーキーなメロディーが顕著で、トラディショナル的サウンドとあいまって、高地の原野で冷たい風に吹かれるような冷厳な雰囲気を醸し出している。ゆえに長尺曲であってもだるくは感じさせない。
盛り上げて行く部分は時には熱狂的な高揚をもたらすことに成功しているが、一方で、その前の部分やその後のクールダウンした部分の方にフォーキーな味わいが深い。トラディショナル的サウンド(フォーキーな部分)で木管のように聴こえる音は、クレジットからすればキーボード(シンセ)かも知れないが、品位が高く、ふくよかな低音のチェロ(の音)やピアノ(の音)と素晴らしいコンビネーションになっている。ヴォーカルは高音わめき系にエコーをかけたものがメイン。

Antonio Sannaは1996年にイタリア Sardinia島で生まれた。
後に(2011年までに)アルゼンチン Mar de Plate市に移り住み、その後の2013年にDOWNFALL OF NURをスタートさせた。まだ20歳にならない若い人だ。

本作は2015年にリリースされた1stフルアルバム。5曲(54:10)。
Nurはサルディーニャ島に幾つも残されているヌラーゲ文明(Nuragic Civilization)時代の巨大遺構ヌラーゲ (nuraghe) の語源と説明されている。彼は元々サルディーニャ語で歌詞を書いていたようだが、本作では英語歌唱になっている。歌詞もサルディーニャ島の先史時代を題材としている。サルディーニャ語版が出たら聴いてみたいものだ。
ゲストはヴォーカルでD (Daniel)が参加。曲数は書かれていないが、彼がコ=プロデューサーでもあるので、ほとんどが彼のヴォーカルである可能性がある。
本作はAntonio Sannaと Dany Tee (ヴォーカルのDと同一人物)がプロデュースした。録音は2014年(May and November of 2014)にNecrowoods Studioで Antonio Sannaが、ヴォーカルの録音はブエノスアイレスのCinco Elementos Studioで Dany Teeがした。マスタリングはCinco Elementos StudioでスタジオのオーナーHernan A. Conidiがした。
LABEL: AVANTGARDE MUSIC (イタリア)

bandcamp全曲試聴
全曲試聴は期間限定の場合があります。お早めに。

(コメント:犬丸)