ULVER - messe i.x-vi.x 全曲試聴

BLACK METAL / AMBIENT / ELECTRONICA

人間の悲哀を感じさせる内面的なサウンド。彼らはプログレではなくエクスペリメンタルと呼ばれる。アンビエントやエレクトロニカとも言われるが、一番掴みどころの無い、どのようなものでも含められるエクスペリメンタルがふさわしい。その音楽性は常に変化していて、一つのものにどっぷりと浸りきらない所が特徴でもあり、それゆえにまた新作を作る事に意味があるのだろう。
本作ではアンビエント/電子音系エレクトロニカが室内管弦楽団とコラボレーションしているのだが、アンビエント/エレクトロニカと言った電気的なサウンドもかなりアコースティックな音色を出していて、両者は対比されるのではなく融合している。どちらかと言えばオーケストラがベースとなっている部分が多く、電子音もチェロやヴァイオリンと同じく、その中でのソロ楽器として使われている。
収録曲は6つのパートから成っているが全体で1曲の組曲となっており、Norwegian Arctic Philharmonic Orchestraの依頼を受けて作曲され、2012年にTromsø Kammerorkester(Tromso Chamber Orchestra)とULVERで初演されている。

ULVERは、1993年にKristoffer Rygg (初期の名:Garm、中期の名:Trickster G.)らが結成した、ノルウェーOslo市のバンド。

本作は10作目辺りとなる、2013年(August 1, 2013位)にリリースされたアルバム。6曲(44:44)。スタジオ・アルバムではあるが、ライブ的な録音の部分が多いという。詳細は知らないが、オーケストラの録音をスタジオではなくホールで行っている可能性がある。
LABEL: K-SCOPE (uk)

トロムソ室内管弦楽団(Tromsø Kammerorkester)はゲストだが本作の重要な部分を担っている。
トロムソ室内管弦楽団はおおむねNorwegian Arctic Philharmonic Orchestra (Nordnorsk Opera og Symfoniorkester) (英語名から訳すとノルウェー北極圏フィルハーモニー管弦楽団、原語名から訳すとノルウェー・オペラ&交響楽団)のメンバーの一部で構成されていて、プロフェッショナルによる室内管弦楽団としてはノルウェー唯一の団体だ。
編成はその時により異なるが21人前後。ヴァイオリニストのHenning Kraggerudが芸術監督をしている。
現在、ヴァイオリンのコンサートマスター(首席)は北九州市小倉北区出身の川見優子さんなので、本作の中のソロ・パートでもその演奏がフューチャーされているのではないかと思う。

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(コメント:犬丸)