BURZUM - belus

BLACK METAL

単純なメタルだと言う本人のコメントに反して、霞のかかったようなアンビエント感やアトモスフェリックな感覚を持った曲もある、ノイジーなプリミティヴ・ブラック・メタル。明白にプリミティヴ・ブラックの発展だと感じられるが、ダークさに加えて一種の悲壮感や哀愁を感じさせる音楽性を持っている。それに加えて、全体にメロディーが中心にすえられていて、その点では聴きやすくキャッチーさが強く感じられる。ドラマティックな感覚もある。
当たり前っぽいが、獄中では活動に制約があったために本作の前の2作はシンセによる一人バンドとして制作されていた。出獄後の第一作目である本作では、今迄通りの一人バンドではあるが、シンセは使わずに制作されている。しかしそれにもかかわらずアンビエントな曲もある。と言うわけで、中心がどこにあるとも言えないもどかしさも感じるが、音楽としての幅の広がりを感じさせるアルバムだ。
なお、本人によれば「Hvis Lyset tar Ossやアトモスフェリックなブリリアントさを持ったFilosofemの流れを引き継ぐがアンビエントな要素はなく、BirzumがBlack Metalとしての評価されているのは解かっているが、本作は単純にメタルに属する」とのことだ。

Kristian Larssøn Vikernesは1973年2月11日にノルウェーのBergenで生まれた。2008年にMarie Dominique France Cachetと結婚した後は改名してLouis Cachetとなったが、現在は元のKristian Larssøn Vikernesに戻しているらしい。
彼は1991年に一人バンドBURZUMをスタートした。彼はネオナチ・シンパと言われる民族主義者で、BURZUMはNSBM(National Socialist Black Metal)の代表のようなバンドだ。彼はBURZUMにおいてはGreifi Grishnackh (以前はCount Grishnack)を名乗っていて、現在はアーティストとしてはVarg Vikernesを名乗っている。
ノルウェーでは1945年を除き1905年から死刑が廃止されている。彼は殺人や放火で獄中にいたが11年の刑期を経て2009年に出獄した。この作品から現在の彼の思想を感じ取る事は難しい(私には出来ない)。

本作は2010年にリリースされた7thアルバム、8曲(52:16)。
LABEL: BYELOBOG PRODUCTIONS (ノルウェー)

Mfmf!試聴: http://mfmf-music.com/search/album/?q=BURZUM%20belus

(コメント:犬丸)