HOLY DEATH - triumph of evil? 全曲試聴

BLACK METAL

ポーランドの初期のブラック・メタルの主要バンドの一つ。
ポーランドの初期ブラックとしては BEHEMOTH と同時代だが、楽曲や音質が全般にドゥーム寄りで、アレンジには常識に囚われるだけではない、エクスペリメンタルと言っても良い部分もある。1曲目などのアゲアゲなプリミティヴ・ブラック・メタル寄りの部分も聴かせ所だが、多くの曲はスロー目で、ドゥーミーで妖しい(と言うより怪しい)曲も多い。SE (Sound Effect=効果音)ではあるが4曲目の始まりなど、また6曲目1分半辺りのキーボードなどはエクスペリメンタルに聴こえる。
ヴォーカルはぎゃあぎゃあわめき声タイプの部分もあるが、録音が篭(こも)り気味で定位感もないため、やかましさや熱さは感じさせない。録音については、私としてはこの作品に適した音質だと思いますが、意見は分かれるかもしれません。ヴォーカルにはドスの利いた低音もあり、不気味~邪悪な感じを出している。
キーボードは「冷厳さ」の一歩手前ぐらいで、コールドであると同時にメロディックでキャッチーな感じも出している。
ヴォーカルとキーボードがこのバンドでは目立つが、ギターも適所でふさわしいアレンジのソロやリフを入れている。
本作は一応1stアルバムとされているもののデモに近いものだが、演奏はしっかりいている。全般にアレンジも丁寧になされていて完成度が高い。

HOLY DEATH の前身となるバンド GLADIATOR は1989年にポーランド Małopolskie県 Kraków市で結成を始めた。
結成メンバーは Necronosferatus Guardian Luciferis (keys, vox) と Apocalyptic Hellhammer (guitar / drums) の2人。彼らは "most blasphemous and dark band" を目指した。
2人は HOLY DEATH のバンド名で1993年に最初のデモ "Megido" を METAL NIGHTS より発表。
1994年初めには Asphodelus (bass) が参加して、8曲(56:00)収録のカセット・アルバム (2ndデモ) "Abraxas" をポーランドの BARON RECORDS (CHRIST AGONY のCDをリリースしているレーベル)より発表。

"triumph of evil" (本作)は1996年に BARON RECORDS からカセット・テープでリリースされた1stアルバム (3rdデモ)。6曲(44:54)。
本作がデモ・テープなのか、1stアルバムなのか、2ndアルバムなのかは判断が難しいが、普通は1stアルバムまたは3rdデモとされている。
バンド・メンバーは、結成メンバーの Necronosferatus Guardian Luciferis と、1994年作から参加しているベーシストの Asphodelus (本作まで), 新加入のドラマー Daren (解散まで), 新加入のキーボーダー Exterminas (1997年のデモまで) の4人。
この作品はカセット・テープと同じ1996年に HEAD NOT FOUND からCD化されているが、バンドは正規盤とは認めていない。正規のCD化は2003年の SIGN OF GARAZEL PRODUCTIONS が最初で、このヴァージョンからタイトルが "triumph of evil?" になった様だ(最後に?マークがついた)。

こちらは2015年(September 18th, 2015)にリリースされた再発盤。9曲。
タイトルは "triumph of evil?" で、未発表の1996年のリハーサル音源が3曲追加されている。
LABEL: WITCHING HOUR PRODUCTIONS (ポーランド)

bandcamp全曲試聴
全曲試聴は期間限定の場合があります。試聴はお早めに。

(コメント:犬丸)