ENSLAVED - in times 全曲試聴

BLACK METAL / VIKING METAL

ちょっとエクスペリメンタルなヴァイキング・ブラック・メタル。時には攻撃的で親しみやすく(攻撃的な音に親しむ人には気軽に聴けるという意味)、わずかに哀愁をにじませるメロディーもあり、聴いていて快適な作品になっている。
音の変遷してきたバンドで、90年代の終わりごろまでは VIKING METAL 色も BLACK METAL 色も濃厚な、爆走ブラストからブルタリティーやエピック要素などが見事にまとまった作品を作っていた。その後はプログレッシヴになったものの、2010年発表の11thアルバム "axioma ethica odini" 等ではブラック・メタル感覚も再びかなり濃厚になって、プログレッシヴな要素に勇壮な要素を融合させ、ダイナミズムあふれるドラマティックな音、またロマンティシズムも感じさせる音を作っている。
さて、2015年の本作では、1曲目で出だしから、攻撃的ながなり声グロウルのファスト・パートで原初的ブラック・メタル感覚を聴かせるが、やはりプログレッシヴな要素は強く、腰の据わったクリーン・ヴォーカルも大いにフューチャーされ、ゆったりと聴かせるパートも多い。
しかしプログレッシヴと言えども気難しい音ではない。また、プログレッシヴと言う以上に、変則リズム等のテクニカルな点や音の広がり、重層的なメロディーや効果音の入れ方などでは、インディー・ロック~ポストロック的趣味が濃い。
ヴァイキング要素は目立たないが、3曲目のシンフォニックなコーラスなどはそれを感じさせる。

ENSLAVED は1991年7月にフィンランド Haugesund 市で3人(1991年時点で)が結成した。その後、本拠地は Bergen 市に移している。
1990年に結成したデス・メタル・バンド PHOBIA が1991年に解散した後、そのメンバーの2人、17歳だったヴォーカル/ベースの Grutle Kjellson (a.k.a. Kjetil Grutle) と13歳だったギター/キーボードの Ivar Bjornson (a.k.a. G.F.) が中心となって結成した。ドラムズは Trym Torson で、1995年に脱退して、第1期後半と第2期の EMPEROR (1996-2001年, 2005-2007年) に参加した。また ZYKLON (1998-2010年 = 全期間) の結成に加わった。
ENSLAVED はヴァイキング・メタルと言うジャンルの創設者とも言われる。

本作は2015年(10 March 2015)にリリースされた13thアルバム。6曲(53:05)。
バンド・メンバーは5人。現在のドラマーはノルウェー人で魚釣りやアウトドアの著述家の Cato Bekkevold (ex-RED HARVEST) 。
ゲストには WARDRUNA の Einar "Kvitrafn" Selvik (ex-GORGOROTH) が3曲目のヴォーカルで参加。
LABEL: NUCLEAR BLAST AMERICA (USA)

Youtube全曲試聴
全曲試聴は期間限定の場合があります。試聴はお早めに。

(コメント:犬丸)