BOTANIST - vi: flora 全曲試聴

AVANT-GARDE BLACK METAL

個性的なカスケイディアン・ブラック・メタル (CBM)あるいはECO BLACK METAL。
ただしそれほどCBMではない様であり、それよりもLEVIATHAN, DRAUGARに次ぐSFBM (San Francisco Black Metal)のバンドとして知られる。第一の特徴はやはりメインで使用される楽器ハマード・ダルシマーの音色そのものだ。これは欧州のプリミティヴなトラッド等で使われることが多い撥弦楽器で、映画"第3の男"のサウンド・トラックに使われて良く知られる様になった、ヨーロッパ・チロル地方の伝統楽器ツィターに由来する楽器だ。大まかにはカンテレや日本の箏(こと)と似ている。これである程度音色は見当付くだろうか。しかし、ハマード・ダルシマーは旧来の型を必ずしも維持せず改良が進んでいるタイプもあって、音域が広いものや音色にバリエーションがあるようだ。本作に於いても大層音に厚みがあり、アトモスフリックな音やノイズ的な音も出し、一人オーケストラ的にハマード・ダルシマーが大活躍している。どのようなタイプを使用してるのか知らない(無責任すみません)が、電気的な処理や電気楽器化もされているかもしれない。ドラミングは展開やリズム変化が多い。以上の他に、演奏にはハルモニウムと12弦ベースギターが使われていて、表立つ部分は少ないがハルモニウムも良い感じだ。以前の作品では蛙の様な異様な声(地声だったり)で歌っていて、その声には良くも悪くもインパクトがあったが、本作ではヴォーカルを奥に引っ込めた録音をしていて、声自体も普通に聞こえる。

BOTANISTは OPHIDIAN FOREST (ハマード・ダルシマー使用、クロアチア+オランダ+米国のECO BLACK METALで、最近作にはHAERESIARCHS OF DISとのスプリットがある)のドラマーOtreborが2009年から始めた1人バンド。
2011年にtUMULtからデヴュー・アルバムを出して以降、ハイピッチでリリースを続けている。今までのアルバムは、Pitchfork Mediaの Top 40 Albums of 2011や、Metal Sucksの Top 15 Metal Albums 2013等に選ばれている。

本作は2014年(August 11th)にリリースされた6thアルバム。11曲(37:55)。
COMADREのギタリストJack Shirley (DEAFHEAVENの各作品のほかは、インディー・ロック~エモのプロデュースが多い人)がプロデュースして、彼のAtomic Gardenスタジオで録音されている。
LABEL: FLENSER RECORDS (USA)

bandcamp全曲試聴
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(コメント:犬丸)